
お役立ち情報
首都圏不動産鑑定株式会社より
お役に立つ情報をご紹介します。
継続賃料について
鑑定評価基準においては、「不動産の鑑定評価によって求める賃料は、
一般的には正常賃料・限定賃料・継続賃料」の3つを例示しています。

正常賃料
「正常賃料とは、正常価格と同一の市場概念の下で、新たな賃貸借等の契約において成立するであろう経済価値を表示する適正な賃料」を言います。言い換えると、合理的な、あるいは、正常な市場において成立する新規賃料を意味します。

継続賃料
「継続賃料とは、不動産の賃貸借等の継続に係る特定の当事者間において成立するであろう経済価値を適正に表示する賃料」を言います。言い換えると、賃貸借等の契約が継続している中での特定の当事者間、つまり、貸主と借主の間で、成立するであろう(適正妥当な)賃料を意味します。
なぜこのような概念が出てくるのかというと、
一般的に、賃貸借契約は、借地借家法(旧借地法、旧借家法を含む)で賃借人が保護されます。
結果、更新等で契約が継続している賃料は、正常な市場における賃料水準と乖離したところで
合意が成立しているのです。紛争においては、この点を反映させた賃料を求める必要があります。
賃料の具体的なお話
本来なら賃料1万円/坪で貸せるビルがあるとして、景気が悪いのでテナントが入るのに時間が掛かるとします。
そこで、オーナーは、8,000円/坪という通常より安い賃料でテナントを入居させたとします。
景気が良くなって周囲の賃料も5割増の1.5万円/坪になったりします。
その場合に、貸主が1.5万円/坪にしたいといっても難しいでしょう。
この場合には、良くても8,000円/坪の5割増しで12,000円/坪までということになります。


もっとも、実際には賃料が5割増になったという証明は難しいですし、各種の手法で求められる賃料も異なります。ここでは、現状での周囲の新規賃料の相場とは異なるという意味で捉えていただきたいのです。
途中の更新で合意している場合も、上記の契約と同様の状況が発生します。つまり、周囲の相場より安い賃料であることを認識しつつ、更新を合意している以上、その状況を引き継ぐ必要があります。
この場合、前回の更新では相場より安くしたので、その分上乗せで、今回は相場より高くしてくれという気持ちもあると思うが、認められることは少ないでしょう。
現実的には、新規契約時よりも、更新時の方が、当事者間での特殊な事情が発生しやすい状況にあります。
評価手法について
今まで首都圏不動産鑑定が関わった事 例をご紹介しております。
過去の実績
当社が関わった過去の事例で、かわったところを紹介します。
ちなみに、今までに負けは無いです。もっとも、100%勝ちも100%負けも普通は無いので、
双方の要求額の半分以上は勝ち取っているといった方が良いでしょう。

CASE 1
借りていながら家賃ゼロと主張
地方の元GMSの建物を社会福祉法人に貸した案件ですが、契約したのに賃料を払わず、最後には家賃ゼロだと言い出した事例。
相手方のロジックは、最有効使用は、建物を取り壊し更地化することだ。
取り壊し費用が多大に掛かるので土地価格と相殺でゼロ。
よって家賃もゼロというへ理屈。
相手の弁護士は人権派の著名な弁護士らしいが、ちょっとひどかった。
証人尋問も受けたが、法廷で大騒ぎされ、パフォーマンスがかなり入っていました。
CASE 2
人口増加している駅前GMS*、
地価下落率をそのまま賃料に適用
人口増が続く駅前商業施設。地価下落率をそのまま賃料下落率に反映。評価書に多数の矛盾点が出てるが知らん顔。
有名な先生というのは、厚顔無恥でないとなれないかもと思った事案。
*GMS=ゼネラルマーチャンダイズストア(英語:General merchandise store、GMS)


CASE 3
再開発ビルに最初に入ったは良いけれど
出来立ての再開発ビルに高い賃料で入ったところ、思ったように繁盛しない。
そのうちに、周辺ビルにもライバルが開業。
後続組の方が家賃が安く、ライバルは増えて売上減小。
イライラがつのって賃料減額請求するも、まったく相手にされず、裁判へ。
結局、双方歩み寄りで示談。訴訟費用を考えると意味がなかったかも。
甘い計画での入居は、後が痛い?
CASE 4
その他
区分所有建物のGMSの家賃
コンビニの家賃
事業所ビル一棟の家賃
広大地の地代
他多数

留意点について
鑑定評価書か否か
相手から提示されたものが、鑑定評価書か否かが重要になります。
鑑定評価書となると決まりごとや処罰規定が厳しいので、意見書、調査報告書で作成している可能性が高いです。
さらに、意見書、調査報告書の場合には、自己に都合の良いように作成している可能性があります。